以前に比べると公務員への志願者が減少してきているそうだが、それでもその待遇に魅力を感じたり地域貢献したいとか、それぞれの理由で公務員を志望している方もいるだろう。
現在多くの自治体において「福祉専門職」のような採用枠を設けており、実際に多くの社会福祉士が公的機関で活躍している。社会福祉士として働きたい、公務員として働きたいという思いを一気に叶えて、公務員社会福祉士として活躍する道を探るのも良いかもしれない。
福祉専門職としての地方公務員
公務員は「国家公務員」と「地方公務員」とに区分されている。
おおまかに「国家公務員」は○○庁といった各省庁やその出先機関での勤務、「地方公務員」は都道府県、市町村などの各自治体で勤務することとなる。
現在多くの自治体では「福祉専門職枠」のような社会福祉士資格(取得見込みを含む)を応募の条件とした採用枠を設けている。
もちろん公務員試験を受ける必要があるため、それなりの対策(受験勉強、面接対策)が必要だ。
もし現在学生で、社会福祉士も『取得見込み状態』であるとすれば、公務員試験の勉強と社会福祉士の受験勉強も同時に進めていく必要があり、そうとうの努力が必要だ。
様々な配属先
福祉専門職が配属される先は様々である。思いつく限りの部署を記載してみたい。
※部署やセンターの名称は各自治体によって違います※
●障がい福祉課
●高齢者福祉課
●子ども福祉課
●生活保護課
●(市町村直営型)地域包括支援センター
●児童相談所
●婦人相談所
●公営の福祉施設 など
都道府県庁内の各課や、福祉に関する各機関が配属先だ。どの配属先も大変そうだが、やりがいは十分だろう。
社会福祉士が公務員になると
終身雇用・年功序列
公務員として働くということは、必然的に終身雇用・年功序列の世界で働くということである。よほどのミスや悪行を働かない限りは終身雇用であり、長く一つの組織で働きたい方には向いているだろう。
ただずば抜けて人より能力が高くても、基本的には年功序列だ。成果報酬というわけにはいかない。
多くの社会福祉法人や医療法人も基本的には年功序列であり、その点はさほど民間と変わりないかは思うが、有給休暇の取りやすさや福利厚生は公務員の方がベターだろう。
異動がある
公務員には『異動』がついて回る。社会福祉士として採用されている以上、必然的に福祉に関する部署を異動して回ることがほとんどだ。
異動すれば新しい業務、新しい人間関係が始まる。それを苦に思うかどうかは人それぞれあろうが、さまざまな社会福祉の分野を経験できることは大きなメリットだろう。
一方で、私は○○福祉分野だけを極めたいと思う人には向かない。
土日祝日が休み(※もちろん例外あり)
基本的には公務員はカレンダー通り、青い文字と赤い文字のところは休みである。
子育て中の方や介護を担っている方においては特に、土日祝日がお休みであることはメリットだろう。
しかし当然のことながら部署や期間によっては、土日祝が休みではない、または変則勤務があることもある。大変だがそれが社会福祉士らしいというか、相談職ならではだろうと筆者は感じるところだ。
公務員社会福祉士が楽な訳がない
前提として、社会福祉士として働く時に楽な職場があるとは思えない。更に言えば、どんな仕事でもどんな職場でも楽なことばかりではない。
公務員は楽そうだ…なんて思っている人がいれば、それは大いなる勘違いだ。特に社会福祉士ならば。
確かにそうそう簡単に破綻もしないし、よほどやらかさない限り定年まで勤めることができるだろう。給与もそこそこ補償されている。
しかし。
- 生活保護のケースワーカーが楽だと思うだろうか?
- 児童相談所の児童福祉司が楽だと思うだろうか?
- 各課窓口で大きな声で苦情を言う方に対する対応が楽だと思うだろうか?
公務員だって大変なことはいくらでもある。そして公務員はいつも「税金で働いているくせに」と言われがちだ。色々な公務員がいて、酷い奴もいるが、優秀で真面目で民間に対して誠実な公務員もたくさんいる。
楽そうだななんて軽い考えで公務員を目指したら、きっと痛い思いをするはずだ。
公務員社会福祉士に向いている人
筆者が思う公務員に向いている社会福祉士を挙げてみたい。
※あくまで筆者の個人的意見である。
公務員社会福祉士になろう
「福祉専門職枠」のような採用枠が多くの自治体で設けられているということは、行政機関において福祉専門職の力が求められているということであり、そういう場合は応募条件に「社会福祉士資格を有していること」が必須となっていることが多い。
需要は十分に高い訳だが、応募条件(年齢、資格、経験)や試験日程などは各自治体で異なるため、その辺りは自身で十分にリサーチ、準備されたい。