世の中にある国家資格の中には、「業務独占資格」「名称独占資格」という区別が存在することをご存じだろうか。名称・業務ともに独占するか、名称のみを独占するのか。
社会福祉士は「名称独占資格である」が、その名称独占資格は価値がない、意味がないのか。
業務独占資格、名称独占資格の違いと、社会福祉士資格について考える。
業務独占と名称独占
■業務独占
その資格を持っている人だけが、その業務を行える。
非常に分かりにくいが、医師免許を持っている人のみが医師と名乗ることができ、医業を行うことができる。つまりその業務をするには、資格が必須なのだ。
■名称独占
その資格を持っている人だけが、その名称を名乗ることができる。
ただ、その資格が無くともその業務を行うことができる。
社会福祉士は「名称独占資格」である
社会福祉士は名称独占資格である。 つまり・・・
社会福祉士資格を持っている人だけが、「私は社会福祉士です」と名乗ることができる。
ただ、社会福祉士資格が無くとも、相談業務やソーシャルワークを行うことはできる。
実質的な業務独占状態
ここで「業務独占じゃないなら社会福祉士いらないんじゃない?」とか「社会福祉士じゃなくても相談業務やソーシャルワークができるなら資格とらなくていいんじゃない?」と言う声があるかもしれない。
しかし、ここで落とし穴がある。
社会福祉業界や医療機関から出ている、相談員やソーシャルワーカーの求人を見てみてほしい。多くの求人票には「社会福祉士資格が必須」と記載されていることがほとんどだろう。
業務独占資格ではないが、それに近い状況がすでに存在しているということではないか。
特に地域包括支援センターでは社会福祉士が必置であり、病院においても社会福祉士を配置することが診療報酬上の加算要件となっており、資格取得者しか採用されない現実がある。
日本社会福祉士会においても「今後有資格者が増加すれば将来的に実質的な業務独占状態になることが考えられます」とコメントされている。
業務独占資格ではないが、世の中が社会福祉士資格保有者を求めることで、結局は独占的な状態になるということだろう。
社会福祉士はCertified Social Worker
「社会福祉士」は「Certified Social Worker」と英訳される。
Certified は日本語だと、認定された、資格を持った、証明されたなどと言う意味であり、公に認定されているソーシャルワーカーということだ。
社会福祉士資格を持っている人だけが「Certified 」とつけることができるのだ。
まとめ
筆者は「社会福祉士」という国家資格が存在している以上は、それが名称独占資格であるとしても、相談援助やソーシャルワークをする人は資格取得するべきだろうという考えである。
(もちろん人それぞれ考え方はあるだろうから、それを否定するつもりはない)
業務独占資格だから価値がないとは思わず、この資格が存在する意義を考え、すでに資格を保有している者は自覚をもって日々の仕事を全うに行い、また資格取得を考えている方には是非、公に認定された資格取得を目指してほしい。