社会福祉士として働きたいと思っているあなたには朗報だ。社会福祉士は社会的に需要が高く、仕事にあぶれることはないし、それは今後も変わらない。
ハローワークでも求人情報掲載サイトでも「社会福祉士」と検索してみてみると分かるが、求人は山ほど出ている。結論:社会福祉士は引く手あまたである。
しかし一方で、ネット検索すると「社会福祉士 需要ない」というワードを見かけることがある。それは何故なのだろう。
需要があるという理由と、仕事がないと囁かれる理由について考えてみたい。
需要があるという理由
社会福祉士の仕事はいくらでもある。
ハローワークや求人情報サイトを確認すれば、社会福祉法人、医療法人、株式会社、公的機関などから社会福祉士の求人が出ているだろう。
そして様々な背景から今後ますます需要は高まるはずだ。
高齢者分野での需要
まずは高齢者分野での需要だ。
ご存じの通り日本は世界トップの高齢社会であり、今後、より高齢化が進む試算となっている。
高齢者人口が増加すると、当然、医療や福祉を必要とする人も増加するということであり、高齢者を支援する人材が必要なのだ。高齢者を支える社会の仕組みづくりの中に社会福祉士のソーシャルワーク技術が生かされるはずだ。
包括支援センターで社会福祉士として働いたり、特別養護老人ホームや老人保健施設、デイなどで相談員になったり、希望すればケアマネ資格を取って居宅介護支援事業所で働くこともできる。
ちなみに社会福祉士の現況調査(令和2年度)において、社会福祉士の就業先のNo.1は高齢者分野である。
児童・教育分野での需要
児童・教育福祉分野でも、ソーシャルワークが実践できる人材の確保が課題となっている。
児童虐待件数は年々増加しており、この状況に対応するため、国は『こども家庭ソーシャルワーカー』を創設し人材を確保しようとしている。この資格取得ルートの一つに、社会福祉士資格保有者(+実務経験)ルートがある。
またスクールソーシャルワーカーについても同様に、需要は今後も高いままだろう。
スクールソーシャルワーカーの選考は自治体により異なるが、社会福祉士や精神保健福祉士が望ましいとされており、実際、現在働いている全国のスクールソーシャルワーカーの保有する資格No.1は社会福祉士だ。
その他の分野での需要
むろん、上記に上げた高齢者福祉、児童(教育)福祉分野以外の現場においても社会福祉士の需要は高いままだ。発達障害支援、ヤングケアラー支援、生活困窮者支援、精神障害を含めた障害者支援などだ。
行政においても専門的知識が必要とされ、福祉専門職枠での採用がなされたり、司法の分野においても、刑務所や保護観察所に社会福祉士を採用したり、はたまた一般企業で社会福祉士を採用することもある。
様々な場所で、色々な場面で社会福祉士の力が必要とされており、今後は今以上に社会福祉士の活躍の場が広がってくるだろう。
AI・ロボットにとって代わられない
今やAI技術は相当の進化を遂げ、我われの生活に無くてはならない存在へと変わってきた。一方で、将来多くの仕事がAIに取って変わられるなどと、その職業一覧までネットなどで情報が公開されている。
社会福祉士はどうか。
ちなみに筆者は福祉現場におけるAI活用推進派である。
例えば関係者間での情報共有。電話をかけまくるとか、FAXを送りまくるとか、そんなことが一発で解決できる。プランのベースの作成(あくまでベース、土台である。個別化は絶対に必要なことである)も、有効的な活用方法だと思っている。地域診断もAIに情報集積にさせたら、よりスムーズに行えそうだ。
では、何がAIに出来ないのか。
それこそがソーシャルワークの実践である。個別化、アウトリーチ、その方の「感情」を含めたコミュニケーションなどはAIには出来ないことだ。
社会福祉士の行う仕事は基本的に「オーダーメイド」仕様のものであり、AIにとって代わられない技術だろう。
「需要ない」「仕事ない」と言われるのはなぜか
未経験者は不利だから
残念ながら、社会福祉士資格を取っただけでは、そのパワーは経験者に比べるとやはり弱い。
求人票に「未経験者可」と書かれていることもあるが、実際のところは、応募者の中に経験者がいれば経験者を採用することの方が多い。(もちろん経験者の方に何らかの問題があるとか、特別の事情があれば話は変わるが・・・)
なぜ経験者を優遇するのか。
社会福祉業界は慢性的に人材不足で「すぐにでも新しい人に来てほしい。そうでないと現場が回らない」という実態がある。現場は『即戦力』を求めている。
では、未経験者は就職できないのか。
筆者も若いころ「経験させてもらえないのに経験者しか採用されないってどういうことだよ」と不満を持っていた。
でもここで諦めないでほしい。
そもそも大学卒や専門学校卒ならば、学校に未経験可の求人が来ていることも多いだろう。
新卒の社会福祉士の『将来性』に重きを置いて、自社自組織で少しずつ育てていきたいということがある。また他の業界から福祉業にチャレンジしようという心意気を買ってくれたり、違う視点を求めていることもある。
すぐに相談職に就けない場合でも、「1年間は介護職をしてもらい、その後に相談員になってもらいたい」などの話もあるかもしれない。よく検討し就職を決めてほしい。
とにかく、経験者でなくとも諦める必要は全くない。
稼げないから
社会福祉士は需要が高く、絶対コレしかしたくない!などの強いこだわりがなければ、「仕事がない」と悩む必要はない。しかし「稼げますか?」と問われれば、筆者は「NO」と答える。
令和2年度の社会福祉士就労状況調査において、令和元年の社会福祉士の平均年収は403万円と報告されている。
この数字を個人個人がどう思うかという問題はあれど、決してたくさん稼いでいるとは言えないだろう。稼ぎたいと思うのならば、公務員になるとか、大手企業に就職するとかの方がよほどいい。
社会福祉士は需要はあるが、稼げはしない。こんな実情が「社会福祉士 需要ない」という間違った言葉に変換されてしまったのかもしれない。
まとめ
今後もますます社会福祉士は必要とされる。これは間違いない。でも残念ながら人より稼げないかもしれない。
ただ、社会福祉士という資格が創設されてから今日まで徐々に認知度は上がってきた。それは諸先輩方の実践の成果であり、社会福祉士の技術が社会に必要とされていると認められてきたからだろう。
これからも社会福祉士が時代のニーズにあった活躍をし、且つそれを社会にきちんとアピールしていくことで、さらに世間に認められ、地位が向上し、稼げることも夢ではなくなるかもしれない。
それにお金に変えられない価値というものもある。(これは人それぞれの価値観があるだろうため、言及しないでおく)
結論:社会福祉士は引く手あまた。需要はいくらでもある。