現在、指導員や支援員、介護の仕事をしている方の中には、今後は障害者相談支援専門員や介護支援専門員(ケアマネ)として働きたいと思っている方がおられるだろう。もしくは希望していないものの、人事でやらざるを得なくなった人も居るだろう。
筆者自身は新卒で障害者授産施設(現在の就労支援B型事業所)で勤務した後に、転職し障害者相談支援員として働いた。相談職に就きたいと思って転職したものの、慣れるまではかなり苦労した。また、筆者が包括支援センターに勤務していた経験で言えば、介護職からケアマネに転身したものの自分に合わないと判断し、早々に介護職に戻る方も少なくはなかった。
どちらがいいとか偉いとかの話ではない。人には向き・不向きがあり、得意・不得意がある。何をやりがいと感じるかも人それぞれなのである。
業務内容が変われば、多かれ少なかれ、理想に思っていたことと現実との間にギャップを感じることにはなる。そのギャップに苦しむ前に、もしくはその苦しみが多少なりとも軽減できればと思い、本記事を記すことにした。
ギャップ①制度理解と活用
支援員や指導員、介護職をしている場合においても、もちろんきちんと法制度を理解し、それに則って日々の業務を行っていることだろう。しかし管理者や主任でなければ、制度を知っていても然程活用する場面はない(筆者の経験上だ。そうではなかったら申し訳ない)。
一方、相談支援専門員・介護支援専門員等になると、制度を熟知していなければ、且つその知識を活用するスキルが無ければ仕事にならない。サービスに繋げるだけが仕事ではないが、クライエントを適切なサービスや適切な専門機関等に繋ぐことも大切な仕事のひとつだ。
知識だけ積み上げて、クライエントとの対話やアセスメントが疎かになっては本末転倒。しかしクライエントの話をふんふんと聞いただけでは意味がない。課題解決や環境調整のための十分な制度理解や、それを活用する能力が必要だ。もしベースが社会福祉士であるならば、尚のことその辺りはしっかりと抑えるべきだ。また相談内容によっては普段関わっている分野以外の知識も必要になるため、常に勉強は欠かせない。
ギャップ②クライエントとの距離感
これは冒頭に記した、介護職→ケアマネ→すぐに介護職に戻った方が言っていたことだが、「高齢者の方と日常の会話をしながらケアしている方が楽しかった」とのニュアンスで話をされていた。
基本的に相談員は常時クライエントの傍にいて、身の回りのケアをしながら話を聞くとか、共に作業(障害就労施設等)をしながら話を聞いたりすることはない。どちらかと言えば、一歩引いて俯瞰で状況確認していることの方が多い。そういう点では今までのクライエントとの距離感とは、感覚が違ってくるだろう。それをすんなりと受け入れられるか、冒頭の方のように違和感を感じ元の仕事に戻る決断をされるか。
しつこいが、どちらがいいとか、どちらが偉いとかいう話ではない。
ギャップ③文書作成量の多さ
当然、支援員でも指導員でも介護職でも、支援記録など文章を書く仕事はある。しかし相談職になるとその種類や量はかなり多くなる。しかも内部で使用することのみではなく、外部の機関やサービス事業所に配布する(お見せする)ものも含まれるため、気を遣うことも多い。筆者の友人は書類ごとが心底嫌いで、だから相談員にはなりたくないと言っている人がいる。
好き嫌いは別としても、文章作成能力はある程度必要かもしれない。素敵な文章や、専門用語をふんだんに使用するとかではなく、必要なことが網羅され且つ簡潔に記されているかも重要だ。
ギャップ④指示を求められる
職場における立場にもよるだろうが、相談の仕事に就いていると、「これってどうしたら良いですか」「○○さんが△△と言っているんですが・・・」などと相談を受けることが多い。クライエント本人からではなく、サービス事業所や直接支援する職員さんからである。当然一人で判断を下す訳ではなく、クライエント本人の意向や置かれている状況、そして事業所等の意見も踏まえて判断を下す訳だが、それが負担になることも事実だ。
クライエントのみならず関係者からも色々と相談を持ち掛けられて、解決のために骨を折ることが非常に負担に感じるならば、相談業務は少し大変かもしれない。
少し話が逸れるが、何でもかんでも相談員等にお伺いを立ててくれる人も居る。正直、それくらい自分で判断してくれよと思うことも含めてだ。自分の考えや意見を持とうとしないのも、仕事放棄だよななんて思う筆者は冷たい人間だろうか・・・?。一方では、ある相談員は本当に細かいことまでも報告・相談を強いて、そうでないと機嫌を損なうとか。相談員だから偉いと思っている勘違い野郎がいるから大変だ・・・そんな人にはなりたくない。
まとめ
小さいことを言えばまだまだあるが、とりあえず思いつく限りを示した。筆者はもともと相談職に就きたい、ソーシャルワークをしたいと思っていたし、実際に相談員の仕事の方が合っていると思い、長年やってきた。
一方で相談の仕事に就いたことでストレスを感じ、仕事が楽しくなくなったと言う人も居る。
何が得意か、どういうことにやりがいを感じるのか、それによってどの道を選ぶかご自身で選択していかれれば良いと思う。やってみて違ったと思えば軌道修正すれば良い訳で、興味がおありならその歩みを一歩進めてみられれば良い。勝手なことを言っているのは承知しているし、責任もとれないが、筆者レベルの転職魔からすれば、自分の人生どのように働こうが、(真面目に仕事に取り組んでいるならば)その働き方について人様からとやかく何か言われる必要はないと思っている。
相談の仕事に就きたいと思っているのであれば、ぜひチャレンジを。もしくは自分には向かないと思って留まるのもまた一つ。ぜひ熟考の上あなたらしい決断を。