福祉系四大生だから合格できるは幻想

資格取得
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「大学で社会福祉を4年も勉強して社会福祉士国家試験に落ちるのなんで?」
ある日、ネットでこのような言葉を目にした。

なるほど。
「4年間も社会福祉について勉強してるんだから国家試験なんか余裕だろ。落ちるとかあり得ない」という主張なのだろうか。

筆者は特にこの方の主張について憤っている訳ではない。
この業界や社会福祉士という資格を深くご存じないのかもしれないし、大学で社会福祉を学ぶということについてご存じないからかもしれない。

ただ、もしもあなた(もしくはあなたの親御さん)が、福祉系四大に通えば楽に社会福祉士に合格できるものだろうとお思いであれば、それは少し違うと伝えておきたい。

大学は専門的に学問を学ぶところ

筆者は福祉系四大を卒業している。卒業からもう20年ほど経過している訳だが、振り返ってみると、大学の4年間というのは、「社会福祉とは何か」「ソーシャルワークとは何か」を徹底的に考えた(考えさせられた)4年間であったと思う。

もちろん高齢者福祉や障害者福祉だとか各論で学んでいく訳だが、その根底にはいつも社会福祉・ソーシャルワークとは何か、についてがあり、その上での理論や実践の学びであった。

この大学での4年間の学びが、現在の筆者『社会福祉士である自分』を形成したものと考えている。

前置きが長くなったが、大学は社会福祉という学問を学ぶ場なのだ。

試験対策のための講義ではない

福祉系四大に入学しようとしている(まはた入学した)人のほとんどは、将来、社会福祉士になるという目標があるだろう。だから社会福祉士国家試験『受験資格』取得ができる大学を選んだはずだ。

もちろん、国家試験に合格することが一つ目標なのだろうが、大学で4年間かけて国家試験勉強をする訳ではない。

極端に言ってしまえば、国家試験に合格することが一番の目標ではなく、4年間を通じて社会福祉に向き合い、知識とソーシャルワーク技術について学びを深めることの方がもっと大切なことだ。

全ての学びが社会福祉士国家試験に通じている。ただし大学での学びと国家試験勉強とは別物だということ。

大学も試験対策してくれる

では大学が国家試験勉強のサポートをしてくれないかと言えば、決してそんなことはない。

大学の先生方は、自分の生徒たちが国家試験に合格してくれることを心から願ってくれているし、正直、大学側としても「うちの大学の社会福祉士国家試験合格率○○パーセントです」と、高い合格率を掲げたいわけだ。

どんなサポートをしてくれるのか。

受験対策講座

取り組みは様々ではあるが、多くの大学で国家試験受験対策のための講座や集中講義などを行っている。

大学3年次から受講できたり、宿泊を伴う合宿を行うところ、その大学をすでに卒業している既卒者までを受講対象としているなど、大学それぞれのやり方で対策講座を設けている。

試験対策ゼミ

国家試験対策のゼミを設けている大学もある。ゼミという小規模のグループだからこそ、学生同士で教え合い、励まし合い学習できる。少人数だからこそ結束力も高まる。

筆者の出身大学では当時、試験対策ゼミというものはなかった(対策講座はあった)が、通常ゼミのメンバーで自主的に勉強会を立ち上げ、決まった曜日時間を決めて集まり勉強した。

もし自分が入学した大学でゼミ単位での勉強会が無ければ、自分たちでそういうのをやってしまうのもアリだ。

模試

多くの大学では、学内で全国統一模試を受ける機会を設けている。

言うまでもなく、模試を受けることで自分の実力を知り今後の勉強に生かすことができる。

大学での学びを国家試験に繋げる

筆者はいつも、相談援助職に就きたい、ソーシャルワーカーとして活動したいという人には、社会福祉士という資格が存在する以上はそれを取得すべきだという主張をしている。

しかし、もし誰かが大学4年間社会福祉を学んで国家試験に落ちたからといって、無駄だったとか意味なかったとか言うことは絶対に、100%ない。

それは国家試験合格以上に大切なことがその4年間に詰まっているからだ。

ただし、福祉系四大だからと言って国家試験も楽勝だと甘くみているようだと合格は遠のいてしまう大学のサポートを有効に活用しながら、学びを共にした友人と励まし合い合格を目指してほしい

筆者は福祉系四大を卒業したことを心から良かったと思っている


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