社会福祉士になってくれてありがとう。
社会福祉士資格を手に入れ、社会福祉士1年目、新人のあなた。
大学卒で社会人1年生という方、または他の資格・職種での経験はあるが社会福祉士としては1年生という方。
それぞれの背景があるとは思うが、違う環境、立場に置かれて毎日キツイ思いをしている人もいるかもしれない。仕事に行きたくないなと思うことだってあるだろう。
それでも、せっかく資格を取り、目標にしてきた世界へ足を踏み入れたのだから簡単に諦めないで欲しい。
何も偉そうに言うつもりはない。筆者も新人の頃は本当に苦労し辛い毎日だった。
だからこそ最大限のエールを送る想いでメッセージを記したい。
くじけそうになる原因とは
理想と現実とのギャップ
おそらく社会福祉を学ぶ中で、将来こうした支援がしたいとか、こういうソーシャルワーカーになりたいなど、理想を持ってこられたことだろう。
しかし、いざ社会に出てみてどうだろう。
特に社会人一年生ならば、「社会福祉士」としての仕事よりも、もしかすると雑用の方が多いかもしれない。
コピー取っておいて。掃除しておいて。ファイル整理しておいて。これ読んでおいて。
社会福祉士の仕事って何だっけ?そんな疑問も浮かぶかもしれない。
もしくは、もっとクライエントに寄り添って仕事するべきなのになんで先輩方はそうしないの。
こんな思いも浮かぶかもしれない。
理想と現実の間で心を揺さぶられる毎日だろう。
仕事の大変さと給料とのギャップ
せっかく頑張って社会福祉士という国家資格を手に入れた訳だが、正直たいした給料はいただけない。他の業界で働いている同級生の給料や、地方公務員の初任者の給料と比べても福祉業界の給料は低い。(厳密には言えないが、MSWは少し高めかなとは思う)
社会福祉士1年生は言わばまだ修行の身であり、給料に対して不平不満を言える立場にはないと思うが、少しずつ社会福祉士としての仕事を任されるにつれ、この給料じゃやっていけないわ・・・と思うこともあるだろう。
ただこの悩みはもしかしたら、一部の人を除いて社会福祉士として働き続ける限り感じることかもしれない。
クライエントに信頼されない
辛いことかもしれないが、クライエントが最初から社会福祉士1年生を全面的に信頼することはほぼないだろう。
面と向かって「あんたじゃ話にならん」「○○さんがいい」「○○さんはあんな風にしてくれたのに」などと言われることもある。
クライエントに面と向かって言われないにしても、大切な要件は自分ではなく他の先輩職員に話しているようだ、ということもあるだろう。
あなたがある程度の年齢であればそうでもないかもしれないが、もし大卒1年目の新人や20代前半であれば、その見た目からも、なかなか一人前として見てもらえない。
当たり前だが、別に社会福祉士が偉い訳でも特別な人間でもない。
そして「社会福祉士として」というよりも「社会人として」の修行から始まるのだ。
上司や先輩が怖い
上司や先輩が怖いという人もいるかもしれない。
親しげに話しかけてくれる人もいる一方、何となく話しかけづらいオーラをまとっている人、いつもピリピリしている人もいるだろう。「ちょっと後にして」と語気強めに言われたり、もちろんミスをして怒られることもあるだろう。
いつも機嫌を伺ったり、怒られやしないかとビクビクしたり、神経をすり減らす毎日だ。
くじけそうなあなたへ
優秀さよりも熱心さ・真面目さ
正直に言って、一年目の職員に優秀さは求めていない。
優秀にこしたことはないが、最初から仕事ができる人はいない訳で、それよりも熱心さや真面目さが大切だ。
メモを取りつつ真剣に仕事を覚えるつもりがあるのか、指示されたことをきちんと把握し作業できるか、焦らなくて良いから真摯に仕事に向き合うことが必要だ。
わざわざ書く必要もないが、あいさつをするとか、敬語を使えるとか、他の人が忙しくしていたら何かできることはないか尋ねてみるとか、小さいこと、基本のことも大切なことだ。
雑用も勉強(修行)
特に社会人経験のない人には、国家試験に受かったからと言って最初から専門的な仕事を任されることは少ない。雑用を言いつけられることも多いだろうし、仕事をすると言っても先輩職員にくっついて見習うことが多いだろう。
掃除も、書類整理も、資料を読む(だけの)ことも、新人の大事な仕事だ。
「こんな仕事やりたい訳じゃなかったのに」と、適当にやったり、早々に仕事辞めようかななんて考え始めないことだ。
筆者は「石の上にも三年」という言葉はそこまで好きではない。
時に早い決断が功を奏すこともあるからだ。ブラック企業で精神を病んでしまう場合だってある。
しかし例えば、雑用が嫌だと他に転職したところで同じ状況になるだけの話。
一年目は、国家資格があろうがなかろうが、『修行の身』なのである。
分からないことを分からないと言う
分からないことを放置しておくと、どんどん聞きにくくなる。将来赤っ恥をかくことになるので、新人のうちは分からないことが何か自覚して自分で調べたり、先輩に尋ねたりして勉強していけばいい。
ただ、上司も先輩も忙しそうで話しかけにくい、質問しにくいという人もいるだろう。
先輩職員としても、多忙を極めている時に質問されるのは迷惑だし、返答する言葉も少々キツくなりがちだ。
顔色を見ながら・・・というのはアドバイスにならないが、せめて「今いいですか」と聞いてみる。
急ぎの質問でなかったら、いったん先輩の仕事が一区切りする時間を狙うとか、質問事項を事前に完結にまとめておくこともお勧めする。
ただしクライエントが目の前で体調不良で倒れそうとかいった緊急事態は、もちろん例外だ。
すぐに指示を仰いで対応しよう。
休日は仕事を忘れる
これが難しい、本当に難しい。
筆者は社会福祉士になってから、かれこれ20年ほどが経つがコレが出来ずに困っている。
「今日はあの件、失敗したな」「あの件はどうやって解決しよう」「月曜朝いちは○○さんに電話しないと」とか、その日の反省や、翌日・週明けの仕事を考えてしまう。
目指すべきは職場の一歩外に出たら全て忘れること。
本当に難しいことだが、少しでも自分の体力・気力の回復に努めるべきだ。
それはクライエントの存在をないがしろにするということとは違う。
自分自身の健康を保ち、バーンアウトを招かない。頭をリセットすれば、冷静になれ、そして最大限のパフォーマンスを発揮できる。
まとめ
最初から仕事ができる人はいない。
人によっては、社会人としての勉強から始める人も居るだろう。別の資格や職種で経験を積んで社会福祉士として新たな歩みを始めた人も居るだろう。
なかなか認めてもらえず悔しい思いをしたり、失敗して迷惑をかけ落ちこんだり、仕事が嫌になることもあるだろう。
しかし何度も言うが、最初からうまくできる人はいない。うまくやろうとせず、真面目に実直に少しずつ進んでいこう。社会福祉士の資格を取得してからがスタートだ。あなたはまだスタート地点に立ったばかり、未来は自分で作っていける。