社会福祉士は名称独占の資格であり、資格がなくともその仕事をすることが可能となっているため、資格が不要なのでは?と思う人がいるかもしれない。
※名称独占についてはこちらの記事で触れています
確かにそうかもしれない。資格創設以前から相談員の仕事をしている方にとっては、今さら必要ではないかもしれない。そしてそもそも社会福祉士という資格取得にさほど拘りがない方もいるだろう。
しかし敢えて筆者は、社会福祉士の資格取得をお勧めする。
特に、これから相談員やソーシャルワーカーなどという職業に就きたいと思うならば、必ず社会福祉士国家試験には合格しておくべきである。
社会福祉士国家試験の合格率推移
1987年、社会福祉士及び介護福祉士法が成立し、これまでに36回の国家試験が行われている。
直近の社会福祉士国家試験合格率は
第31回 29.9%
第32回 29.3%
第33回 29.3%
第34回 31.1%
第35回 41.2%
第36回 58.1%であった。
第35回の41.2%、第36回の58.1%が異常に高いことが気にはなるが、
第1回から36回までの累計では、合格率29.5%である。
資格取得に意味はある
100人中29人くらいが合格する試験。簡単だとは言わないが、例えば司法書士は合格率3パーセント。それに比べればずいぶん簡単な試験だ。
今まさに勉強中の方は「そんなことを言われても・・・」と思うだろうが、超絶頭が良くなくとも十分に合格できる程度だ。なぜなら筆者は一発で合格したが、別に頭が良い訳ではない。学校の成績もごくごく普通だった。
難しいかもと諦めかけている人がいるかもしれないが、諦めないで取り組んでほしい。
就職に必要
筆者が社会福祉士を取得したのは約20年前である。
大学で社会福祉士を専攻していたため、国家試験は大学4年生の時点で受験した。
4年生となれば受験勉強と就職活動を平行していた訳だが、当時、友人らとは「社会福祉士落ちたら採用取り消しになるかも。そうなったらどうしよう」とよく話していた。
20年前でも、すでに『国家試験落ちる=仕事ない』という恐怖に怯えていたのだ。
あれから社会福祉士という資格の認知度は上がってきた。
(他資格に比べればそうではないかもしれないが、少なくとも資格創設当初に比べるとずっと認知されいるはずだ)
現在、ハローワークや転職サイトにおいて、ソーシャルワーカーや相談員の求人を見ると、ほぼほぼ社会福祉士資格(場合によって精神保健福祉士)が応募の条件となっている。
ひと昔前のように資格の欄に「社会福祉士が望ましい」とは書いていない。「社会福祉士が必須」となってきているのだ。
つまりは、現任者(資格があろうが無かろうが今現在、相談職に就いている人)以外の人は、就職や転職を希望した時に、社会福祉士資格を持っていなければ、その職に就くのが非常に難しくなっているということだ。
国家試験に合格しているかどうかで、将来の選択肢が増えるか否かが決まる。
専門家の証
例えば大卒一年目の社会福祉士。晴れて就職したとして、あなたに何ができるだろう。
筆者も大卒で『社会福祉士』を持って就職した訳だが、当然ながら「何も出来ないただの新人」であった。ちょっと良く言っても「社会福祉を勉強した、何も出来ないただの新人」だ。
資格を取得していたとしても実務的なことが全くできないため、何も出来ない人なのである。
しかし現場に出れば、れっきとした社会福祉士。クライエントの話を聞いてニーズを把握し、制度を説明したり、時に助言することもある。クライエントが人生の先輩であることが多く、大卒1年目の新人が「何様」である。
ここでくじけてはいけない。そういう時に「私は学問として社会福祉を専門に勉強してきた人間です」と証明するのが資格なのである。というか、それ以外に何も戦う武器はない。
資格を持っているだけでは何にもならないが、資格は専門的に勉強してきたことを証明する術なのである。
一応、一応、念のために記すが、資格を取ったから偉い訳じゃない。勘違いはしないで謙虚に取り組むことだ。
社会福祉士を目指そう
もし万が一、資格が取れなかったしてもあなたの学びは無駄ではない。
大学で4年間かけて社会福祉と向き合ったことは素晴らしい。専門学校で集中して勉強してきたあなたも素晴らしい。そして社会福祉士の資格がなくとも、相談員として働けることもある。
しかし資格制度ができた以上は、世間からはその資格があるかないかで判断されることも事実である。
よく言うことだが、資格合格はスタート地点。資格があるだけで何もできない人になってはならないが、少なくとも資格を持っていることがまずは第一だ。
筆者は大学生の頃こう考えていた。「社会福祉士に合格できなかったらただの人」。
これは正しくないかもしれない。先ほど述べたように、学びは無駄にならないから。それでもこれくらいの勢いと覚悟を持って合格に向かって突き進んでほしい。
最後に、筆者は新しく社会福祉士になろうという人を本当に心から応援している。