「辞めてもいい」
夢やあこがれを持って、辛く厳しい現場実習を終え、猛烈に受験勉強し、晴れて社会福祉士になったのに。現場に出て打ちひしがれ、世間の波にもまれ、社会福祉士を辞めたいと思っているあなた。
社会福祉士の仕事をやってはみたが、思っていたのと違うとか、やはり別の目標ができたとか理由はそれぞれだろうが、辞めたいと思うこともあるだろう。
最初に抱いた思いを一生思い続けることも素晴らしいが、それだけが正しいという訳でもない。
更に、もしあなたが精神的に苦しくなっていて、眠れず、食事も取れない日々を過ごしているならば、はっきりと言いたい。病気になる前には辞めて下さい。
辞めたくなる理由
世の中のイメージは『福祉の仕事って大変そう』である。
例えば初めましての人に会った時。
自分が社会福祉士で相談業務をしていると伝えると、ほぼ必ず「お仕事大変でしょう」と声を掛けられる。
世間のイメージでも大変だと思われている仕事、ではなぜ特殊で辛いのか。
限られた職場の人間関係
どこの業界においても職場における人間関係の悩みはあるだろうが、福祉業界での人間関係はもっと距離が近く、狭い範囲で起こる。
例えば自分の部署には5人しか居ませんとか、相談員は自分を含めた2人体制だなんていうこともあるだろう。その小さな小さな集団で馴染めないとか、相棒と反りが合わないとなると、かなりしんどいことは容易に想像できる。
特定の誰かが嫌ということではなくとも、人間関係が近くなり過ぎて息苦しいと思うこともある。
支援対象者やその家族との関係
言うまでもなく我われ社会福祉士は対人援助職であり、常に対象者や家族と向き合わなければならない。
しかし身勝手なことを要求されたり、理不尽なことを言われることも多い。中には急に怒鳴られたりすることだってある。一生懸命やっても中には気持ちすら通じないこともあり、何をやっているんだろうと虚しくなることもある。
制度変化への対応が大変
社会福祉士は、社会福祉の分野を横断的に体系的に学んできている。知識とソーシャルワークの技術を持って対人援助を行っているのだ。
しかし制度改正というのは定期的にやってくるし、場合によってはその解釈が行政担当者が変わるたびに僅かに変化したりもする。社会福祉士という国家資格を手に入れたとして、受験したのが3年前ともなればその知識はすでに古くなっている。
常に新しい情報を手に入れ、法律や制度を理解しなければならない。言い換えれば変化に対応できなければ社会福祉士は続けられない。
待遇の低さ
社会福祉業界の賃金、待遇はさほど悪くないと言う方もいるが、筆者自身はそうは思わない。筆者は大卒の社会福祉士だが、明らかに大卒の一般企業社員の給与水準よりかなり低い。
やりがい搾取という言葉は本当に良く言ったもので、福祉の仕事はやりがいがあると言われ待遇は低いまま。一応国家資格なのだが・・・夢や希望はどこへいったのだろう。
孤独
福祉施設等であれば、周囲に社会福祉士が何人か存在しているだろうが、そうでない場合、他職種に囲まれて社会福祉士は自分だけということもあるだろう。多職種に囲まれ、場合によっては社会福祉士という立場さえ理解してもらえていないことさえある。
仕事はたまる一方、誰にも理解されず孤独で仕事の悩みを抱えてしまうこともあるだろう。
辞めてもいい
自分が一番大事
社会福祉士である以上、クライエントの利益を最優先に行動することは当然のことだ。
そういう中でも、責任感の強いあなたは仕事は辞めてはならないものだと、どうにか耐えているかもしれない。その忍耐力は素晴らしいし、心から尊敬する。
ただ、もしもストレスで気が滅入り、夜のうちから翌朝が憂鬱。眠れない、食事も美味しくないのであれば、もう辞めていい。
「他人だからそう勝手に言うんだろ」という反論もあるかもしれないが、そのまま倒れて心も身体も病んでは元も子もない。人様の幸せよりも、まずは自分や自分の家族を大事にしてほしい。
辞めて元気になって、また社会福祉士として活躍したいと思えば戻ってくれば良い。
国も副業や転職を推している
国が働き方改革を謡い、大手企業などは副業を解禁するようになった。直近でも政府がリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業を掲げている。
副業する道や、転職する道も個人個人が選んで良いのだ。
これから先も社会福祉士として生きていくかどうか、もしくは副業をしながらやっていくのか、自分で選んでいい。もはや社会福祉士ではなく他の道に進んだって良いのだ。
あなたらしく働く
多様性の時代である。
転職してもいいし、副業をしてもいい、もちろんこのまま社会福祉士の道を突き進んでもいい。
※副業については自身の所属する組織で許可されているかご自身で確認してください
一度や二度の転職で何か人生に不利益は生じない。筆者は一度や二度ではない転職を重ねているが、不利益は全く生じていない。
もし今、社会福祉士として働くことを辞めても、社会福祉士資格はあなたの手元からどこかに行って消え失せたりしない。いつか社会福祉士として働きたいと思えば、また戻ってくれば良い。活躍の場所はいくらでもある。いつの時代も福祉業界は人材不足なのだ。
あなたがあなたらしく働けることを願っている。